Bant Delverの可能性
皆さん、こんにちは。和歌ロックです。
前二回は『Canadian Threshold』について語らせていただきましたが、今回は新しいデッキについて語っていこうと思います。
今回紹介するデッキは、『Bant Delver』です。
Bant Delverとは、文字通りバントカラーの《秘密を掘り下げる者》を搭載したテンポ系デッキですが
デルバーデッキの種類は数あれど、バントカラーの形は殆ど存在しないと言っていいと思います。
最初に、何故このデッキを作ろうと思ったのかその経緯について話していきます。
■Bant Delver構築に至るまで
レガシー環境には多くのデルバーデッキが存在しています。
まず、有名な所で、Canadian Threshold(青赤緑)、Patriot(青白赤)、Team America(青黒緑)があります。
これらのデッキはStar City Gamesやグランプリでもかなりの結果を残しています。
他にも青黒赤や、2色なら靑赤のデルバーもいます。
3色の組み合わせならば、青を固定色として、4(2色目)×3(3色目)÷2(順不同)=6種類のデルバーデッキが考えられるのですが
実際には(青白緑)と、(青白黒)の組み合わせは殆ど存在しません。
エスパー石鍛冶という《秘密を掘り下げる者》を使わないコントロール寄りの形が主流なので、存在しないこともうなずけます。
しかし、バントカラーはデルバーデッキとしての可能性があると私は考えています。
バントカラーでもデルバーデッキは可能ではないか。これが出発点でした。
私はここ最近ずっとCanadian Threshold(以下カナスレ)を使っていたのですが、《真の名の宿敵》の登場によりカナスレが少し厳しい
立場になってしまったので、最初は《真の名の宿敵》を使えるPatriotかTeam Americaを使おうと思っていたのですが
どちらのデッキにも気になる点がありました。
■新・青い悪魔
Patriotは、《剣を鍬に》と《稲妻》の両方が搭載され、除去が豊富なのは良いのですが
その分クリーチャーが少なく、攻め手に欠けるように感じました。
Team Americaは、クリーチャーは多いのですが、除去が《突然の衰微》という2マナのカードしかなく
相手にテンポを取られ易い点が不満で、どうにかこの二つのデッキの不満な点を克服できないか考えていた所、前述の
「バントカラーでもデルバーデッキは可能ではないか?」と言う疑問と繋がり、バントカラーでデッキを組んでみる事にしました。
Patriotの気になる点として、クリーチャーが少ない点を挙げましたが
一般的なリストは《秘密を掘り下げる者》が4枚、《石鍛冶の神秘家》が4枚、《真の名の宿敵》が2枚の計10枚しかありません。
《真の名の宿敵》を3枚に増やしているリストも見かけますが、やはり3マナは重く
追加のクリーチャーには2マナ以下から選びたいところです。
その代わりに除去を7~8枚採用していますが、除去を多めに入れると言う事は、消耗戦を狙っていると言う事になります。
盤面を綺麗にし、後からクリーチャーを出すと言うのは、本来コントロールデッキのする戦い方です。
この戦い方をしたいなら、《秘密を掘り下げる者》を抜き、《精神を刻む者ジェイス》や《瞬唱の魔道士》を入れた石鍛冶デッキにするべきだと思ってしまいます。
クリーチャーを出しながら相手のクリーチャーを殺していけば良いと思われるかもしれませんが
クリーチャーが少ないと言う事は、それだけ攻め手が途切れやすいということです。
やはり、テンポデッキならば、クリーチャーを途切れなく出して行き、相手を捌く側に回らせる事が必要ではないでしょうか。
と言うわけで《稲妻》を抜き、《タルモゴイフ》を投入する事によって、攻め手を増やしました。
本当は《剣を鍬に》よりも《稲妻》の方がテンポデッキの戦い方に合っていますし、それを突き詰めたのがカナスレです。
テンポデッキでは《剣を鍬に》で相手にライフを与えてしまう事が痛く、最後の数点を削れず負けと言う事が起こり易くなってしまいます。ただ、その代わりにカナスレとは違い、《タルモゴイフ》に対処し易くなっています。
■Bant Delverの構成
では、実際のデッキリストの解説に移っていきます。以下が私の作ったリストです。
▽Bant Delver サンプルリスト
晴れる屋レガシー杯 - 2014-02-11- 4位
Kurokawa Naoki
60 Mainbord Cards
草の根でのデッキリストで恐縮ですが、上記がBant Delverのサンプルリストになります。
では、カードタイプ別に分類し、カード選択について話していきます。
►►クリーチャー
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》




►►装備品
1《殴打頭蓋/Batterskull》
1《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》


クリーチャーは合計14枚となり、Patriotよりもクリーチャーが4枚多くなっています。
装備品と《真の名の宿敵》の相性の良さはそのままに、《タルモゴイフ》を追加する事により、打点も向上しています。
2マナ域が"8枚"あり、ダブつく事が予想されますが、Team Americaでも《Hymn to Tourach》と、《タルモゴイフ》と言う
2マナ域の被りはありますのでそこまで気にする事ではないでしょう。
部族には《石鍛冶の神秘家》の方が、コンボには打点の高い《タルモゴイフ》の方が有効になります。
持ってくる装備品の選択は相手により変わるので難しいですが、《殴打頭蓋》をいきなり持ってくるよりも《梅澤の十手》を持ってきて
お伺いを立てる方が良いのではないかと思っています。
対戦相手からすると、既にこちらが《殴打頭蓋》を持っているかもしれないという裏目が存在するため
なかなか《石鍛冶の神秘家》を放置すると言うわけにもいきません。
装備品は《殴打頭蓋》は当然として、2枚目には《梅澤の十手》を取っていますが、《火と氷の剣》のメイン採用も十分考えられます。
►►ドロースペル
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《思案/Ponder》
2《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《森の知恵/Sylvan Library》




《渦まく知識》と《思案》はテンポデッキには必要不可欠でしょう。
その時々により、クリーチャーとスペルの足りない方を集めて行く事になります。
《ギタクシア派の調査》はカナスレやPatriotなどでも使われていますが
このデッキの場合は前述の《石鍛冶の神秘家》の装備品の選択をしやすくなるなど情報戦で優位に立てる事と
《タルモゴイフ》を大きくする事の両方に貢献します。
また、サイドボード後の話になりますが、《翻弄する魔道士》との相性も抜群です。
《森の知恵》はせっかく緑を入れたのだからと追加のドローとして投入しましたが、他のカードに変更可です。
今回のリストでは《不毛の大地》を1枚減らしていますが、これを戻すのも良いでしょう。
《殴打頭蓋》との相性の良さは言うまでもありません。
►►妨害スペル
4《Force of Will》
4《目くらまし/Daze》
2《呪文貫き/Spell Pierce》
4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》




カウンターは基本の10枚のみ、除去は《剣を鍬に》4枚のみと、最低限の枚数になっています。
相手への干渉という点では心細いですが、その分、クリーチャーでプレッシャーを掛ける事によって相手に対処を迫り
結果的に相手に干渉せずとも相手がしたい事をする時間を減らすことができます。
サイド後は《翻弄する魔道士》や《ヴェンディリオン三人衆》等の妨害しつつダメージを刻むと言う攻防一体のカードも投入されます。
■サイドボード
サイドボードは主にコンボ対策、クリーチャー対策、置物対策の3つに分類できます。
①コンボ対策
3《翻弄する魔道士/Meddling Mage》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1《被覆/Envelop》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
クリーチャー、カウンター、置物の3パターンでコンボ対策をしています。
《翻弄する魔道士》はSneak ShowやANTなどのキーカードが限られるデッキに効きます。
《ヴェンディリオン三人衆》はコンボにも勿論効きますが、コントロールにもサイドイン出来ます。
《被覆》と《狼狽の嵐》は追加のカウンターです。
《被覆》はソーサリー限定ですが、相手の土地が伸びていてもカウンター可能
《狼狽の嵐》は相手がカウンターを構えていてもカウンター可能と、それぞれ強みがあります。
《墓掘りの檻》は墓地対策としても一級品である他、対Elvesでも《自然の秩序》と《緑の太陽の頂点》の二つのキーカードを無効化できるため、非常に有効です。《大祖始の遺産》はDredgeやReanimateだけでなく、対カナスレでも効きます。
白の入っているデッキの墓地対策には《安らかな眠り》が採用されることが多いのですが
Bant Delverでは自分で《タルモゴイフ》を使っているため、採用することが難しくなっています。
②クリーチャー対策
1《流刑への道/Path to Exile》
2《水没/Submerge》
1《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》



追加のクリーチャー除去として一般的なのは《流刑への道》です。
自分が《目くらまし》や《不毛の大地》を使っている関係で、基本土地を使っている相手には使いにくいカードです。
逆に基本土地が入っていないデッキ相手には最強の除去と言っていいでしょう。デルバー対決でサイドインされる事が多いです。
《水没》もデルバー対決で有効なカードです。
テンポデッキ対決ではマナを使わずに相手のクリーチャーに対処出来るこのカードは非常に重宝します。
ただ、Patriotにはサイドインできません。
《仕組まれた爆薬》は万能除去です。
Elvesなど、マナ域の低いクリーチャーを横に並べるデッキに非常に良く効きます。
また、トークンや裏返った《秘密を掘り下げる者》のマナコストは0マナなので、0で起きましょう。
また、クリーチャー以外も破壊する事が出来るため、置物対策にもなっています。
③置物対策
1《解呪/Disenchant》
1《真髄の針》


《解呪》は古えからの置物対策ですね。《帰化》や《クローサの掌握》でも勿論OKです。
《真髄の針》は《師範の占い独楽》や《霊気の薬瓶》を封じられる他、《精神を刻む者ジェイス》や《ヴェールのリリアナ》等のPWや
Sneak Showの《騙し討ち》対策にもなり、また《翻弄する魔道士》と同じく、《ギタクシア派の調査》との相性は抜群です。
フェッチランドを指定する事も出来るため、《ギタクシア派の調査》で手札を覗き、フェッチランドを指定と言う動きも可能です。
④その他
1《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
今回のサイドボードではその他に分類されるのは《火と氷の剣》のみです。
追加の装備品ですが、対コンボや対《真の名の宿敵》でサイドインする事が多いです。
《真の名の宿敵》を場に出されてしまうと2体以上のクリーチャーを展開するか、飛行クリーチャーがいない限り、攻撃が通らないため
攻撃を通せるようになるプロテクション(青)は非常に有効です。もちろん《精神を刻む者ジェイス》にも強い装備品です。
■Bant Delverの優位性
では、他のデルバーデッキと比べてBant Delverが優っている点、劣っている点について考えていきます。
まず攻撃力ですが、これは《タルモゴイフ》が入った事により上がっていると言っていいでしょう。
Patriotよりもクリーチャーは増えており、Team Americaと比較しても《死儀礼のシャーマン》の代わりに《石鍛冶の神秘家》が入っているのでより攻撃的になっていると言えます。
対して妨害力ですが、これはかなり低下していると言っていいでしょう。
カナスレには《もみ消し》や《呪文嵌め》などの追加のカウンターがありますし、Team Americaには《Hymn to Tourach》や
《思考囲い》等の手札破壊があります。
Patriotには追加のカウンターはありませんが、《剣を鋤に》と《稲妻》の両方を搭載されクリーチャーを捌き易い構成になっています。
よって、Bant Delverは他のデルバーデッキよりも相手への干渉に欠けているため、常に先手で攻めていく必要があります。
カナスレよりも《真の名の宿敵》に強く、Patriotよりも打撃力に長け、Team Americaとは異なり、装備品による攻めも持っています。
これらの攻めの部分で優っているのがBant Delverの長所と言えます。
■デッキの可能性
今回はBant Delverの紹介をしてきました。
しかし、私が主張したいのはBant Delverがデルバーデッキで最も優れていると言う事ではありません。
他のデルバーデッキにもそれぞれ長所がありますし、それぞれのデッキの強さは甲乙つけがたいものがあります。
決してBant Delverがそれらに劣っているわけではない、と言う事を主張したかったわけです。
レガシーには多種多様なデッキがありますが、トップメタと呼ばれるデッキは限られています。
しかし、トップメタのデッキに対抗できる力を持っているにも関わらず、日の目を見ていないデッキはまだまだあるはずです。
『使われていない=弱い』と決めつけるのはいささか視野が狭いのではないでしょうか?
どんなトップメタデッキも最初からトップメタだったわけではありません。
誰かがそのデッキで結果を出して有名になり、便乗する人々が出てきて、だんだんとトップメタの一角になっていったはずです。
次に新たなデッキの可能性を見出すのはあなたかもしれません。
(和歌ロック/記者ブログ)
前二回は『Canadian Threshold』について語らせていただきましたが、今回は新しいデッキについて語っていこうと思います。
今回紹介するデッキは、『Bant Delver』です。
Bant Delverとは、文字通りバントカラーの《秘密を掘り下げる者》を搭載したテンポ系デッキですが
デルバーデッキの種類は数あれど、バントカラーの形は殆ど存在しないと言っていいと思います。
最初に、何故このデッキを作ろうと思ったのかその経緯について話していきます。
■Bant Delver構築に至るまで
レガシー環境には多くのデルバーデッキが存在しています。
まず、有名な所で、Canadian Threshold(青赤緑)、Patriot(青白赤)、Team America(青黒緑)があります。
これらのデッキはStar City Gamesやグランプリでもかなりの結果を残しています。
他にも青黒赤や、2色なら靑赤のデルバーもいます。
3色の組み合わせならば、青を固定色として、4(2色目)×3(3色目)÷2(順不同)=6種類のデルバーデッキが考えられるのですが
実際には(青白緑)と、(青白黒)の組み合わせは殆ど存在しません。
エスパー石鍛冶という《秘密を掘り下げる者》を使わないコントロール寄りの形が主流なので、存在しないこともうなずけます。
しかし、バントカラーはデルバーデッキとしての可能性があると私は考えています。
バントカラーでもデルバーデッキは可能ではないか。これが出発点でした。
私はここ最近ずっとCanadian Threshold(以下カナスレ)を使っていたのですが、《真の名の宿敵》の登場によりカナスレが少し厳しい
立場になってしまったので、最初は《真の名の宿敵》を使えるPatriotかTeam Americaを使おうと思っていたのですが
どちらのデッキにも気になる点がありました。
■新・青い悪魔
Patriotは、《剣を鍬に》と《稲妻》の両方が搭載され、除去が豊富なのは良いのですが
その分クリーチャーが少なく、攻め手に欠けるように感じました。
Team Americaは、クリーチャーは多いのですが、除去が《突然の衰微》という2マナのカードしかなく
相手にテンポを取られ易い点が不満で、どうにかこの二つのデッキの不満な点を克服できないか考えていた所、前述の
「バントカラーでもデルバーデッキは可能ではないか?」と言う疑問と繋がり、バントカラーでデッキを組んでみる事にしました。
Patriotの気になる点として、クリーチャーが少ない点を挙げましたが
一般的なリストは《秘密を掘り下げる者》が4枚、《石鍛冶の神秘家》が4枚、《真の名の宿敵》が2枚の計10枚しかありません。
《真の名の宿敵》を3枚に増やしているリストも見かけますが、やはり3マナは重く
追加のクリーチャーには2マナ以下から選びたいところです。
その代わりに除去を7~8枚採用していますが、除去を多めに入れると言う事は、消耗戦を狙っていると言う事になります。
盤面を綺麗にし、後からクリーチャーを出すと言うのは、本来コントロールデッキのする戦い方です。
この戦い方をしたいなら、《秘密を掘り下げる者》を抜き、《精神を刻む者ジェイス》や《瞬唱の魔道士》を入れた石鍛冶デッキにするべきだと思ってしまいます。
クリーチャーを出しながら相手のクリーチャーを殺していけば良いと思われるかもしれませんが
クリーチャーが少ないと言う事は、それだけ攻め手が途切れやすいということです。
やはり、テンポデッキならば、クリーチャーを途切れなく出して行き、相手を捌く側に回らせる事が必要ではないでしょうか。
と言うわけで《稲妻》を抜き、《タルモゴイフ》を投入する事によって、攻め手を増やしました。
本当は《剣を鍬に》よりも《稲妻》の方がテンポデッキの戦い方に合っていますし、それを突き詰めたのがカナスレです。
テンポデッキでは《剣を鍬に》で相手にライフを与えてしまう事が痛く、最後の数点を削れず負けと言う事が起こり易くなってしまいます。ただ、その代わりにカナスレとは違い、《タルモゴイフ》に対処し易くなっています。
■Bant Delverの構成
では、実際のデッキリストの解説に移っていきます。以下が私の作ったリストです。
▽Bant Delver サンプルリスト
晴れる屋レガシー杯 - 2014-02-11- 4位
Kurokawa Naoki
60 Mainbord Cards
■Creature | ■Spells | ■Sideboard | |||
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》 | 4《渦まく知識/Brainstorm》 | 3《翻弄する魔道士/Meddling Mage》 | |||
4《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》 | 4《思案/Ponder》 | 1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》 | |||
4《タルモゴイフ/Tarmogoyf》 | 4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》 | 1《被覆/Envelop》 | |||
2《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》 | 4《Force of Will》 | 1《狼狽の嵐/Flusterstorm》 | |||
4《目くらまし/Daze》 | 1《流刑への道/Path to Exile》 | ||||
■Lands | 2《呪文貫き/Spell Pierce》 | 1《解呪/Disenchant》 | |||
4《汚染された三角州/Polluted Delta》 | 2《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》 | 1《仕組まれた爆薬/Engineered xplosives》 | |||
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》 | 1《森の知恵/Sylvan Library》 | 1《真髄の針/Pithing Needle》 | |||
1《霧深い雨林/Misty Rainforest》 | 1《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》 | 1《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》 | |||
1《沸騰する小湖/Scalding Tarn》 | 1《殴打頭蓋/Batterskull》 | 1《大祖始/Progenitus》 | |||
3《Tundra》 | 1《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》 | ||||
3《Tropical Island》 | 2《水没/Submerge》 | ||||
3《不毛の大地/Wasteland》 |
草の根でのデッキリストで恐縮ですが、上記がBant Delverのサンプルリストになります。
では、カードタイプ別に分類し、カード選択について話していきます。
►►クリーチャー
4《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
4《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
2《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》




►►装備品
1《殴打頭蓋/Batterskull》
1《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》


クリーチャーは合計14枚となり、Patriotよりもクリーチャーが4枚多くなっています。
装備品と《真の名の宿敵》の相性の良さはそのままに、《タルモゴイフ》を追加する事により、打点も向上しています。
2マナ域が"8枚"あり、ダブつく事が予想されますが、Team Americaでも《Hymn to Tourach》と、《タルモゴイフ》と言う
2マナ域の被りはありますのでそこまで気にする事ではないでしょう。
部族には《石鍛冶の神秘家》の方が、コンボには打点の高い《タルモゴイフ》の方が有効になります。
持ってくる装備品の選択は相手により変わるので難しいですが、《殴打頭蓋》をいきなり持ってくるよりも《梅澤の十手》を持ってきて
お伺いを立てる方が良いのではないかと思っています。
対戦相手からすると、既にこちらが《殴打頭蓋》を持っているかもしれないという裏目が存在するため
なかなか《石鍛冶の神秘家》を放置すると言うわけにもいきません。
装備品は《殴打頭蓋》は当然として、2枚目には《梅澤の十手》を取っていますが、《火と氷の剣》のメイン採用も十分考えられます。
►►ドロースペル
4《渦まく知識/Brainstorm》
4《思案/Ponder》
2《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《森の知恵/Sylvan Library》




《渦まく知識》と《思案》はテンポデッキには必要不可欠でしょう。
その時々により、クリーチャーとスペルの足りない方を集めて行く事になります。
《ギタクシア派の調査》はカナスレやPatriotなどでも使われていますが
このデッキの場合は前述の《石鍛冶の神秘家》の装備品の選択をしやすくなるなど情報戦で優位に立てる事と
《タルモゴイフ》を大きくする事の両方に貢献します。
また、サイドボード後の話になりますが、《翻弄する魔道士》との相性も抜群です。
《森の知恵》はせっかく緑を入れたのだからと追加のドローとして投入しましたが、他のカードに変更可です。
今回のリストでは《不毛の大地》を1枚減らしていますが、これを戻すのも良いでしょう。
《殴打頭蓋》との相性の良さは言うまでもありません。
►►妨害スペル
4《Force of Will》
4《目くらまし/Daze》
2《呪文貫き/Spell Pierce》
4《剣を鍬に/Swords to Plowshares》




カウンターは基本の10枚のみ、除去は《剣を鍬に》4枚のみと、最低限の枚数になっています。
相手への干渉という点では心細いですが、その分、クリーチャーでプレッシャーを掛ける事によって相手に対処を迫り
結果的に相手に干渉せずとも相手がしたい事をする時間を減らすことができます。
サイド後は《翻弄する魔道士》や《ヴェンディリオン三人衆》等の妨害しつつダメージを刻むと言う攻防一体のカードも投入されます。
■サイドボード
サイドボードは主にコンボ対策、クリーチャー対策、置物対策の3つに分類できます。
①コンボ対策
3《翻弄する魔道士/Meddling Mage》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1《被覆/Envelop》
1《狼狽の嵐/Flusterstorm》
1《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》
1《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
クリーチャー、カウンター、置物の3パターンでコンボ対策をしています。
《翻弄する魔道士》はSneak ShowやANTなどのキーカードが限られるデッキに効きます。
《ヴェンディリオン三人衆》はコンボにも勿論効きますが、コントロールにもサイドイン出来ます。
《被覆》と《狼狽の嵐》は追加のカウンターです。
《被覆》はソーサリー限定ですが、相手の土地が伸びていてもカウンター可能
《狼狽の嵐》は相手がカウンターを構えていてもカウンター可能と、それぞれ強みがあります。
《墓掘りの檻》は墓地対策としても一級品である他、対Elvesでも《自然の秩序》と《緑の太陽の頂点》の二つのキーカードを無効化できるため、非常に有効です。《大祖始の遺産》はDredgeやReanimateだけでなく、対カナスレでも効きます。
白の入っているデッキの墓地対策には《安らかな眠り》が採用されることが多いのですが
Bant Delverでは自分で《タルモゴイフ》を使っているため、採用することが難しくなっています。
②クリーチャー対策
1《流刑への道/Path to Exile》
2《水没/Submerge》
1《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》



追加のクリーチャー除去として一般的なのは《流刑への道》です。
自分が《目くらまし》や《不毛の大地》を使っている関係で、基本土地を使っている相手には使いにくいカードです。
逆に基本土地が入っていないデッキ相手には最強の除去と言っていいでしょう。デルバー対決でサイドインされる事が多いです。
《水没》もデルバー対決で有効なカードです。
テンポデッキ対決ではマナを使わずに相手のクリーチャーに対処出来るこのカードは非常に重宝します。
ただ、Patriotにはサイドインできません。
《仕組まれた爆薬》は万能除去です。
Elvesなど、マナ域の低いクリーチャーを横に並べるデッキに非常に良く効きます。
また、トークンや裏返った《秘密を掘り下げる者》のマナコストは0マナなので、0で起きましょう。
また、クリーチャー以外も破壊する事が出来るため、置物対策にもなっています。
③置物対策
1《解呪/Disenchant》
1《真髄の針》


《解呪》は古えからの置物対策ですね。《帰化》や《クローサの掌握》でも勿論OKです。
《真髄の針》は《師範の占い独楽》や《霊気の薬瓶》を封じられる他、《精神を刻む者ジェイス》や《ヴェールのリリアナ》等のPWや
Sneak Showの《騙し討ち》対策にもなり、また《翻弄する魔道士》と同じく、《ギタクシア派の調査》との相性は抜群です。
フェッチランドを指定する事も出来るため、《ギタクシア派の調査》で手札を覗き、フェッチランドを指定と言う動きも可能です。
④その他
1《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
今回のサイドボードではその他に分類されるのは《火と氷の剣》のみです。
追加の装備品ですが、対コンボや対《真の名の宿敵》でサイドインする事が多いです。
《真の名の宿敵》を場に出されてしまうと2体以上のクリーチャーを展開するか、飛行クリーチャーがいない限り、攻撃が通らないため
攻撃を通せるようになるプロテクション(青)は非常に有効です。もちろん《精神を刻む者ジェイス》にも強い装備品です。
■Bant Delverの優位性
では、他のデルバーデッキと比べてBant Delverが優っている点、劣っている点について考えていきます。
まず攻撃力ですが、これは《タルモゴイフ》が入った事により上がっていると言っていいでしょう。
Patriotよりもクリーチャーは増えており、Team Americaと比較しても《死儀礼のシャーマン》の代わりに《石鍛冶の神秘家》が入っているのでより攻撃的になっていると言えます。
対して妨害力ですが、これはかなり低下していると言っていいでしょう。
カナスレには《もみ消し》や《呪文嵌め》などの追加のカウンターがありますし、Team Americaには《Hymn to Tourach》や
《思考囲い》等の手札破壊があります。
Patriotには追加のカウンターはありませんが、《剣を鋤に》と《稲妻》の両方を搭載されクリーチャーを捌き易い構成になっています。
よって、Bant Delverは他のデルバーデッキよりも相手への干渉に欠けているため、常に先手で攻めていく必要があります。
カナスレよりも《真の名の宿敵》に強く、Patriotよりも打撃力に長け、Team Americaとは異なり、装備品による攻めも持っています。
これらの攻めの部分で優っているのがBant Delverの長所と言えます。
■デッキの可能性
今回はBant Delverの紹介をしてきました。
しかし、私が主張したいのはBant Delverがデルバーデッキで最も優れていると言う事ではありません。
他のデルバーデッキにもそれぞれ長所がありますし、それぞれのデッキの強さは甲乙つけがたいものがあります。
決してBant Delverがそれらに劣っているわけではない、と言う事を主張したかったわけです。
レガシーには多種多様なデッキがありますが、トップメタと呼ばれるデッキは限られています。
しかし、トップメタのデッキに対抗できる力を持っているにも関わらず、日の目を見ていないデッキはまだまだあるはずです。
『使われていない=弱い』と決めつけるのはいささか視野が狭いのではないでしょうか?
どんなトップメタデッキも最初からトップメタだったわけではありません。
誰かがそのデッキで結果を出して有名になり、便乗する人々が出てきて、だんだんとトップメタの一角になっていったはずです。
次に新たなデッキの可能性を見出すのはあなたかもしれません。
(和歌ロック/記者ブログ)
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