Miracleミラーマッチ勝率アップを目指して(1)
どうもお久しぶりです。TTWです。
今回は戦略系のコラムです。お題は「奇跡ミラーをいかにして戦うか」です。
最近はめっきりコラムを投稿してなかったので不安でいっぱいですが、最後までお付き合いしていただけたら幸いです。
とにもかくにもまずはサンプルリスト。
Grand Prix Seattle-Tacoma 2015 3位
Player:Brian Demars
Deck Name:Jeskai Miracles
Main
2 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
2 《僧院の導師/Monastery Mentor》
-クリーチャー(4)-
4 《渦まく知識/Brainstorm》
4 《思案/Ponder》
4 《終末/Terminus》
4 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
4 《Force of Will》
4 《相殺/Counterbalance》
4 《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
3 《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
2 《対抗呪文/Counterspell》
1 《議会の採決/Council's Judgment》
1 《天使への願い/Entreat the Angels》
-呪文(35)-
4 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《島/Island》
3 《Tundra》
2 《乾燥台地/Arid Mesa》
2 《Volcanic Island》
2 《平地/Plains》
-土地(21)-
Side
3 《紅蓮破/Pyroblast》
2 《摩耗+損耗/Wear+Tear》
2 《血染めの月/Blood Moon》
2 《狼狽の嵐/Flusterstorm》
2 《封じ込める僧侶/Containment Priest》
2 《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
一口にミラーマッチと言ってもデッキリストは人によって違いますが、イメージする上での参考なればと思います。またサンプルには入っていませんが、最近はメインボードに《予報》が入っているタイプも流行っています。
chapter1:メインデッキのカードについて
このコラムでは如何にして奇跡ミラーマッチの攻防を有利に進めていくかを解説します。初めに攻防のポイントを説明する前にキーカードをあげていきます。
デッキには様々なカードが入っています。そして手札の中から最も勝算の高い行動を選択していきます。行動の選択肢は大きく分けて二つあります。攻めるか守るかです。このコラムでは、以下の行動とカードを便宜的に下のように呼びます。
自分から行動すること=攻撃側
相手の行動を待つこと=防衛側
自分から動いて状況を有利にするカード=攻撃スペル
相手の動きを妨害して不利を防ぐカード=防衛スペル
1:メインデッキの各カード評価
メインデッキに入っているカードの解説です。すでにだいたい把握されている方はchapter2まで飛ばしてください。
攻撃スペル(盤面を有利にするカード)

《相殺》
もっとも軽く、《師範の占い独楽》のハーフロックが決まった際は《精神を刻む者、ジェイス》をもしのぐ制圧力を発揮するカードです。ミラーマッチは必然的にマナ域も被っているためナチュラル相殺も起こりやすいです。マストカウンター。

《瞬唱の魔道士》
瞬速を活かして攻めの起点を作り出すことは勿論、打ち消し呪文をフラッシュバックすることにより防衛にも使えるアタッカーです。ミラーマッチにおけるサイド後のキー・クリーチャー。

《ヴェンディリオン三人衆》
相手の攻めの起点を潰すことから自分の《相殺》や《精神を刻む者、ジェイス》を通すことまで多方面で活躍するクリーチャーです。パワーも3ありアタッカーとして及第点。瞬速であるため隙をつくりにくいのが利点です。

《精神を刻む者、ジェイス》
最強のカードパワーを誇る1枚。クリーチャー戦が主体になりにくいミラーマッチでは落ちにくく、また自身が生み出したアドバンテージで自分を守るため非常に強力なカードです。当然マストカウンター。

《天使への願い》
インスタントタイミングで大量ダメージを見込める1枚ですが、メイン戦は《終末》が残っているためこのカードで決着をつけるのは難しいです。しかしながら、《相殺》にほぼ引っかからないマナ域のコストでプレイできるため《相殺》によるロックを決められたあとでも逆転できる可能性がある呪文です。本領を発揮するのは《終末》が減るサイド後から。

《僧院の導師》
メンターといえばこれまではサイドボードでの運用が中心でしたが、《天使への願い》に負けないぐらいの打点を発揮するためメインから投入するリストも増えました。《天使への願い》と違い、少ないマナでも活躍できる反面インスタントタイミングでの奇襲攻撃は出来ません。このカードも本領を発揮するのは除去が抜けるサイド後からでしょう。
防衛スペル(打ち消し呪文など)

《Force of Will》
打ち消しで相手の脅威から自分を守ることは勿論、自分の攻めをゴリ押すことにも使える呪文です。唯一マナがなくとも唱えられる呪文であるためここ一番で最も頼りになるカードです。反面、ディスアドバンテージもあるため打ち消したことに見合う取引をする必要があります。

《対抗呪文》
唯一カードアドバンテージを失わずなんでも消せる呪文です。これと《瞬唱の魔道士》があるときの安心感は大きいです。《紅蓮破》や《赤霊破》で消せない呪文も1:1が取れる貴重な呪文です。

《議会の採決》
戦場に出たあととはいえ、《紅蓮破》や《赤霊破》より幅広いパーマネントを除去できる呪文です。3マナであるため《相殺》されにくい除去ですが、ソーサリーであるためどうしても隙ができます。
不要牌(攻防に影響しないカード。または限定的にしか役に立たないカード)

《剣を鋤に》
攻防のほとんどが非クリーチャー・スペルに関わるものであるため活躍するタイミングが中々ない呪文です。サイド後もそれほど有効なカードではありません。

《終末》
打ち消し以外で《天使への願い》や《僧院の導師》を対処できますが、序盤で必要なカードではないためどうしても無駄牌になりやすいです。また劣勢前提で活躍するカードであるため、自分が有利なときはどうしても使いにくいです。
《平地》
白の呪文を唱える頻度が少ないため白マナしか出ない土地が活躍する機会は少ないです。また、3ターン目まではUUUが出るようにセットランドしたいためセットするのは後半以降ーーーぶっちゃけセットランドしない方がいいまであります。
ドロー操作呪文
《師範の占い独楽》《渦まく知識》《思案》
次回で解説します。
その他防衛スペル
サンプルリストには入っていませんが、メインから投入されていることがよくある呪文です。

《紅蓮破》
青い呪文が飛び交うミラーマッチではほぼ1マナの《対抗呪文》として機能します。戦場に出たあとのパーマネントにも対応できるのも良いところです。

《呪文嵌め》
後手でも2ターン目の《相殺》に対応できる数少ない呪文です。その他にも《対抗呪文》と《瞬唱の魔道士》に対応できるため中盤以降も活躍できる呪文です。
chapter2:メインゲームの立ち回り方
1:攻防のポイント
・攻撃側のポイント
メインゲームは積極的に攻めることも視野に入れることが大切です。このとき、相手の手札が強過ぎる場合を想定しないことが必要です。(例えば相手が1マナのカウンター+相殺を持っている場合など)
自分の手札に除去が腐っているように、相手の手札にも除去が腐っていて有効牌がそれほど多くない状況がそこそこあります。過信はいけませんが、過大評価も勝機を逸します。
特に先手2ターン目の《相殺》は自分が《対抗呪文》《呪文嵌め》《紅蓮破》を持っていないときは出し惜しみせずにぶつけるべきです。相手の迎撃手段は《呪文嵌め》《紅蓮破》(または《赤霊破》)《Force of Will》に限られるので以外と打ち消されないタイミングです。メインの《呪文嵌め》と《紅蓮破》は多くとも入っていて合計2枚程度、リストによっては1マナカウンターが入っていないものもあります。加えて《Force of Will》はプレイされても1:2交換でこちらが有利です。メインゲームは相手がドロー操作を唱える前、体制が整えきらない間に攻め込む判断が必要とされます。逆にゲーム中盤、相手の手札が整え終わったあとには慎重に攻めることが大切です。
・防衛側のポイント
1枚でも《Force of Will》以外のカウンターがあるなら防衛側に回ることをお勧めします。そして攻めるときは必ず打ち消しを構えながら攻めることが大切です。
2:序盤の攻防の選択
攻めるタイミングでないときに攻めて反撃に遭う。攻めないといけない場面で守りに入ってしまって負ける。MTGあるあるです。ではMiracleミラーマッチの攻めと守りの分岐点はどこか?と聞かれると以下の三つの要素を総合して判断します。それは「自分の手札の内容」、「相手のセットランドの状況」、「相手の手札の枚数」の三つの条件です。特に序盤では「自分の手札の内容」と「相手のセットランドの状況」の二つが重要なポイントです。
:自分の手札の内容から判断する
簡単に言うと「攻めのカードが多いときは攻めろ、守りのカードが多いときは待ち」です。
・攻撃側に回る場合
攻撃側に回る場合の手札の基準は攻撃スペル>防衛スペルの状況です。
例:《相殺》《思案》《精神を刻む者、ジェイス》《剣を鋤に》《Volcanic Island》《Tundra》《溢れかえる岸辺》
(先手2ターン目ドロー後、自分の場には《島》のみ。相手の場には《溢れかえる岸辺》が1枚)
手札に攻め手しかない場合は攻めの一手です。下手に待っても相手の手札が充実していく一方になる可能性があるためカウンターを使わせた方がよいです。運良く通ればラッキー!そのままゲームの流れを持っていけます。相手が既にこちらより質の高い手札ーーー具体的には攻撃スペルと防衛スペルの両方をバランスよく所持していた場合はどのみち遅かれ早かれ負けます。メインはときに強気に出ることが要求されます
・例:《相殺》《思案》《精神を刻む者、ジェイス》《呪文嵌め》《Volcanic Island》《Tundra》《溢れかえる岸辺》
(先手2ターン目ドロー後、自分の場には《島》のみ。相手の場には《溢れかえる岸辺》が1枚)
次は攻撃スペル2枚に対して、防衛スペル1枚の場合ですね。この場合も自分から動いていくことになります。しかし、1点注意が必要です。それは必ず攻撃スペルと防衛スペルを同時に唱えられるタイミングで攻めることです。
何故なら相手も同様に《相殺》を持っている場合、2ターン目に《相殺》をプレイすると相手も《相殺》をプレイしてきます。こうなるとナチュラル相殺できるかの運ゲーになります。そして高確率で手札の《呪文嵌め》は腐ります。
ところが《呪文嵌め》を構えてターンを渡した場合、相手が《相殺》をプレイしてきた場合は《呪文嵌め》で相手の《相殺》を撃ち落として、返しに《相殺》をプレイしてマウントを取ることができます。
相手が動かなければ3ターン目に《相殺》を自分がプレイして、相手が《対抗呪文》を唱えてきた場合は《呪文嵌め》で打ち消して《相殺》を通すことができます。また相手にカウンターがない場合や《Force of Will》などでこちらの《相殺》を打ち消された場合でも、次のターンにプレイされる《相殺》を《呪文嵌め》で打ち消せます。
より多くの状況に対応できるのは後者なので、後者を選択しましょう。
勿論、相手の手札に対処手段が一切ない場合は2ターン目に《相殺》をプレイする価値はあるのですが、それならよっぽど相手のトップデッキが強くない限りは3ターン目に攻めても同じということになります。リスクを回避できるときは回避しましょう。
上記の手札の場合ですと、3ターン目の攻防で引き分けても次のターンに《精神を刻む者、ジェイス》でもう一度攻められるのも攻撃側に立つ理由の後押しになっています。
ですから、上記の手札だと2ターン目に《相殺》をプレイするよりは「2ターン目は《呪文嵌め》を構えて、3ターン目に《呪文嵌め》を構えながら《相殺》をプレイする」がベターになります。
・防衛側のポイント
防衛側に回る場合の手札の基準は攻撃スペル<防衛スペルの状況です。
防衛側は基本的に打ち消しがある限り「ガン待ち」していいのですが、注意すべきポイントがあります。
①《Force of Will》で待たない
②攻めに切り替えるポイントをつくっておく
①について理由は簡単です。手札が減るからです。
防衛側を長く続けるコツは手札の枚数を維持することです。手札の数が多いとそれだけ相手は予想しないといけないことが増えます。また自分は手札の枚数が多いほど選択肢が増えます。
そのため防衛側に回るのなら出来れば《対抗呪文》や《呪文嵌め》、《紅蓮破》といった1:1が取れる呪文を構えたいです。《Force of Will》1枚を最終防衛ラインとして持っているのはありですが、2回以上ピッチコストで支払う前提で守ることはできることなら避けたいです。
ですから防衛側に回った際にドロー操作で見つけるべきは《Force of Will》より《対抗呪文》です。
②についてはずっと防衛側では勝てないので、どこかのタイミングで攻撃側に切り替わる必要があります。そのタイミングですが、相手の攻めをカウンターで潰したあとに反撃するのがベストです。もう自分が守り切るのに十分な手札が整ったと思ったら、それ以降は《相殺》や《精神を刻む者、ジェイス》といったカードを探しましょう。
また、瞬速持ちのクリーチャーは防衛側のときに真価を発揮します。普段は《対抗呪文》などを構えて、相手が動かなければエンド前に《渦まく知識》を唱えます。また《対抗呪文》を構えて、次のターンも相手が動かなければ《瞬唱の魔道士》で《渦まく知識》をフラッシュバックさせつつ殴る。という動き方をすれば隙なく手札を減らすことなくゲームを動かすことができます。そうしてやむなく動いてきた相手をカウンターで討ち取って、隙ができたところを《相殺》で蓋をするのが王道のパターンです。
メインゲームで防衛側に回るかどうかは初手に依存するところが大きいのですが、決まれば強い戦略です。
:例外(《Force of Will》が手札にありかつ手札に攻撃スペルがある場合)
例:《相殺》《思案》《Force of Will》《Force of Will》《Volcanic Island》《Tundra》《溢れかえる岸辺》
(先手2ターン目ドロー後、自分の場には《島》のみ。相手の場には《溢れかえる岸辺》が1枚)
上記ような手札の場合は攻撃側に回ります。
「ちょっと待って。攻撃スペル<防衛スペルのときは防衛側に回るはずじゃあ?」と思うかもしれません。ですが、このようなときは《Force of Will》で《相殺》を押し込むべきです。
《Force of Will》は本質的に損をするカードです。しかし、一時的に損をしても長期的にアドバンテージを取れる取引であるならそれは損ではありません。上のような手札の場合は《Force of Will》で失ったアドバンテージを《相殺》が(将来的に)取り返してくれる可能性が高いです。だからここで《Force of Will》を使うべきであり攻めるべきなのです。
また、この手札で防衛側に回った場合はどうでしょうか?2度のピッチコストで手札から《相殺》と《思案》が失われ………うーん、そのあとの展望が見えませんね。
《Force of Will》を最終防衛ラインに使うか、詰めの一手に使うかは状況によって流動的です。しかし、自分の攻撃の手数が相手の防衛の手数より上回っていると判断したときは《Force of Will》で押し込むことを視野に入れた作戦を立てるべきです。
長くなってしまったので一旦ここまでとします。
続きは「2:序盤の攻防の選択」の「相手のセットランドの状況から判断する」からスタートします。
文:TTW
校正:せれさん
写真協力:寿司さん、Domeさん
その他:KMC運営の皆様
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