シリーズ「PLAYER」第5回:酒と友好の神、Sakamoto Taiga
by ttw
月日が流れるのは早いものでKMCは今年で9年目を迎える。2011年12月11日にスタートした当時の参加者は44名だった。そこから山あり谷ありあったが、今では参加者が100名を超える大会にまで成長した。これも普段参加してくれているプレイヤーのおかげだが、中にはそれ以外でもKMCを支えてくれたプレイヤーがいる。その一人がSakamoto Taigaだ。
KMCで近年導入された取り組みとして「コミュニティ戦」と「高校生以下半額」がある。いずれもSakamotoのアイデアから始まったことだ。「より仲良く、より楽しく」を実現してくれたSakamotoの発想の源には彼の人柄があった。

(Sakamoto Taiga)
SakamotoはいくつものKMCITに参加した強豪だ。いずれもデルバーデッキで出場し、KMCでデルバーが上手い人を思い浮かべるときに思いつく一人だ。普段の彼は寡黙なイメージがあるのだがそれはプレイ中のときだけ。それ以外のときに話しかけてみれば気さくな人物である。お酒、特にハイボールが入ると泡のように理性が溶けて饒舌になる。規律を重んじるアゾリウスの人間と思ったら、中身は享楽的なラクドスだったぐらいの落差だ。昔は会話の内容が明るすぎて同じ人物かと戸惑いを覚える人もいたが、今では周りも慣れてしまった。とはいえ、どちらの彼も「タイガー」と呼ばれ周囲から慕われているのは彼が友達思いの人物だからだろう。
・プレイの遍歴
--SakamotoさんがMTGを始めたのはいつ頃ですか?
Sakamoto:初めてMTGに触れたのが『ミラディンの傷跡』の頃。ちゃんと始めたのは『新たなるファイレクシア』のときかな。その頃は「にじいろくじら」でスタンダードをやっていた。そこからグランプリ参加をきっかけに競技シーンに出るようになった。

--そこからレガシーを始めたきっかけは何ですか?
Sakamoto:レガシーを始めたのはURデルバーを借りて「Eternal Party」に出たのがきっかけで、そこでバブルマッチまで行けて「レガシーって面白いやん!」ってなった。今思い返せばあのデッキが強かっただけなんだけど(笑)でもそれがきっかけで「デルバーデッキ楽しいな」ってなってスタンのときは一度もデルバーを使わなかったけど、社会人になってGP京都があるから思い切ってデッキを組んだ。そしたら《宝船の巡航》が禁止になった(笑)
--タルキール覇王譚とタルキール龍紀伝の間の頃ですね(笑)
Sakamoto:そうそう。ボーナスぶっこんだら禁止になって(苦笑)そのあとは友達とちょこちょこ触るぐらいだけだったけどグランプリにみんなで遊びにいっているときにIzumaさん(*1)の強大化デルバーを見て、自分の持っているデュアルランドでも組めそうということで組んでみた。そこからはずっとレガシーで遊んでいる。GP千葉も強大化デルバーで出て、そのときにモダンのパーツをトレードに出してグリクシスデルバーを組めるようにした。そしたら今度はグリクシスデルバーから禁止が出た(笑)(*2)

--Sakamotoさんと言えばグリクシスデルバーのイメージがありますね。
Sakamto:最初は他のデッキも使っていたけど、途中から明らかにグリデルの勝率がえぐいことになってきたからそこからずっとグリデル。で、禁止になると(笑)そこからはずっとレガシーしかしていない。最近はアリーナでスタンダードも触るようになったけど。
--やはりレガシーは楽しいですか?
Sakamoto:面白いし、周りの友達もみんなレガシーをやっているからね。あとグランプリにも行かなくなって1ヶ月に一度のKMCが調整を頑張った答え合わせって感じで参加している。それが楽しいのかも。グランプリの初日みたいな感覚でやっている。全勝で抜けたら二日目も有利やでっていう感じ。グランプリも全勝する勢いじゃないと優勝できないし。
--確かに今のKMCは7回戦なので、2byeで始まるグランプリ初日と同じラウンド数ですね。
Sakamoto:実際問題、今やっている会場で(グランプリの構築フォーマットは)全てやっているしね。小さなグランプリみたいなものだと思う。
--毎月200人近い人数が集まって運営も驚いています。大会も4つ開催されているのでお祭りみたいに感じるのもわかります。



・コミュニティ戦と学割
--Sakamotoさんにはコミュニティ戦などKMCに色々とアイデアをいただきました。そういった発想はどこから思いついたのですか?
Sakamoto:ちょうどそのころプロツアー・チームシリーズが発表されて凄い良いなと思ったのが始まりで、それでKMCでもみんなで競ったら楽しいのじゃないのかなと思って提案した。自分自身もそのときKMCに馴染み始めたときだからもっと友達と仲良くなれたらいいなと考えていたのもあるけれど(笑)しかも、SNSも普及し始めて連絡も取りやすくなっていてタイミングが良かった。当時はそこまで考えていなかったけど(笑)まあ、あとは楽しいからじゃない?全部。
--そうですね。コミュニティ戦は今までにない楽しさがあります。
Sakamoto:KMCの良いところであり、悪いところでもあるけど1度負けたら優勝がほぼなくなるということがある。でも1回負けたからドロップするのは勿体ないやん?本当はそのまま続けて経験を積んだ方が強くなれる。そこでコミュニティのためにポイントを稼げるようにしたら最後まで頑張ってみる人が増えるんじゃないかと思った。
--コミュニティのために頑張っていたら知らず知らずのうちに自分の力になっていたということですね。実際に、2敗してもチームのために頑張ろうと言って続けている方は結構います
Sakamoto:そうそう。だから最近は2敗ラインにも強い人がいっぱいいるもんね(笑)あとは予めコミュニティを組むことによってチームレガシーが組みやすくなるのもある。

--高校生以下半額を提案したのはどういった意図からですか?
Sakamoto:MMMとKOSが開催されるようになって学生の様な若い人が増えた。でもスタンにしてもモダンにしてもMTGは安い趣味じゃない。カードを揃えるにもお金がかかって、参加費にもお金がかかってとなると高校生とかには厳しい。今後高校生以下の層がアリーナとかで増えてくることを考えると、そういったプレイヤーが参入しやすくなる下地になればいいなと思った。浮いた500円で1パック買って新しいカードでデッキを強化できれば凄くいいじゃん?
--確かにそれは理想的ですね。
Sakamoto:若い世代が僕らみたいに大会を経験して今後コミュニティを作っていったら、人をたくさん連れて来てくれてそれがまた大会を支えていくようになる。それがいいんじゃないかなと思って言ってみた。
・帝王Kagotaniを倒せ
--KMCの強豪と言えば?
Sakamoto:まあこれは僕はずっと言ってきているのですがKagotaniくん(*3)です。安定感が半端ない。

(Kagotani Naota)
Sakamoto:まあでもみんな強いから名前を挙げたらいっぱいいる。でも丁度始めた節目に立ちはだかったBanbaやMorishimaは印象に残っている。上も下も強い人はいるけど同い年で仲がいいから目に付きやすい。この3人は試合を後ろからみて「こいつ強えなー」ってなる。でも勝ってる人はみんな強いよ。KMCに優勝するのは運も必要だけど、上位に常に入っている人はもれなく強いと思う。

(*1)Izumi Masaru
ハンドルネームDJ Izumaで活動しているプレイヤー。京都出身のプレイヤーで、京都マジックコミュニティの発展に尽力したプレイヤー。京都の大会、FNL(フライデー・ナイト・レガシー)の創始者。デッキビルダーとして有名で強大化デルバーの他に赤単エルドラージを作った。第12期レガシー神挑戦者決定戦準優勝。
(*2)2018年7月2日に《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》と《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》がレガシーで禁止された。どちらもグリクシスデルバーで使用されていたカードだった。
(*3)Kagotani Naota
KMC最強の一角であり、Omonishi Kojiroの後継者。2019年10月にレガシー関西帝王に2度目の就任を果たした。
月日が流れるのは早いものでKMCは今年で9年目を迎える。2011年12月11日にスタートした当時の参加者は44名だった。そこから山あり谷ありあったが、今では参加者が100名を超える大会にまで成長した。これも普段参加してくれているプレイヤーのおかげだが、中にはそれ以外でもKMCを支えてくれたプレイヤーがいる。その一人がSakamoto Taigaだ。
KMCで近年導入された取り組みとして「コミュニティ戦」と「高校生以下半額」がある。いずれもSakamotoのアイデアから始まったことだ。「より仲良く、より楽しく」を実現してくれたSakamotoの発想の源には彼の人柄があった。

(Sakamoto Taiga)
SakamotoはいくつものKMCITに参加した強豪だ。いずれもデルバーデッキで出場し、KMCでデルバーが上手い人を思い浮かべるときに思いつく一人だ。普段の彼は寡黙なイメージがあるのだがそれはプレイ中のときだけ。それ以外のときに話しかけてみれば気さくな人物である。お酒、特にハイボールが入ると泡のように理性が溶けて饒舌になる。規律を重んじるアゾリウスの人間と思ったら、中身は享楽的なラクドスだったぐらいの落差だ。昔は会話の内容が明るすぎて同じ人物かと戸惑いを覚える人もいたが、今では周りも慣れてしまった。とはいえ、どちらの彼も「タイガー」と呼ばれ周囲から慕われているのは彼が友達思いの人物だからだろう。
・プレイの遍歴
--SakamotoさんがMTGを始めたのはいつ頃ですか?
Sakamoto:初めてMTGに触れたのが『ミラディンの傷跡』の頃。ちゃんと始めたのは『新たなるファイレクシア』のときかな。その頃は「にじいろくじら」でスタンダードをやっていた。そこからグランプリ参加をきっかけに競技シーンに出るようになった。

--そこからレガシーを始めたきっかけは何ですか?
Sakamoto:レガシーを始めたのはURデルバーを借りて「Eternal Party」に出たのがきっかけで、そこでバブルマッチまで行けて「レガシーって面白いやん!」ってなった。今思い返せばあのデッキが強かっただけなんだけど(笑)でもそれがきっかけで「デルバーデッキ楽しいな」ってなってスタンのときは一度もデルバーを使わなかったけど、社会人になってGP京都があるから思い切ってデッキを組んだ。そしたら《宝船の巡航》が禁止になった(笑)
--タルキール覇王譚とタルキール龍紀伝の間の頃ですね(笑)
Sakamoto:そうそう。ボーナスぶっこんだら禁止になって(苦笑)そのあとは友達とちょこちょこ触るぐらいだけだったけどグランプリにみんなで遊びにいっているときにIzumaさん(*1)の強大化デルバーを見て、自分の持っているデュアルランドでも組めそうということで組んでみた。そこからはずっとレガシーで遊んでいる。GP千葉も強大化デルバーで出て、そのときにモダンのパーツをトレードに出してグリクシスデルバーを組めるようにした。そしたら今度はグリクシスデルバーから禁止が出た(笑)(*2)

--Sakamotoさんと言えばグリクシスデルバーのイメージがありますね。
Sakamto:最初は他のデッキも使っていたけど、途中から明らかにグリデルの勝率がえぐいことになってきたからそこからずっとグリデル。で、禁止になると(笑)そこからはずっとレガシーしかしていない。最近はアリーナでスタンダードも触るようになったけど。
--やはりレガシーは楽しいですか?
Sakamoto:面白いし、周りの友達もみんなレガシーをやっているからね。あとグランプリにも行かなくなって1ヶ月に一度のKMCが調整を頑張った答え合わせって感じで参加している。それが楽しいのかも。グランプリの初日みたいな感覚でやっている。全勝で抜けたら二日目も有利やでっていう感じ。グランプリも全勝する勢いじゃないと優勝できないし。
--確かに今のKMCは7回戦なので、2byeで始まるグランプリ初日と同じラウンド数ですね。
Sakamoto:実際問題、今やっている会場で(グランプリの構築フォーマットは)全てやっているしね。小さなグランプリみたいなものだと思う。
--毎月200人近い人数が集まって運営も驚いています。大会も4つ開催されているのでお祭りみたいに感じるのもわかります。



・コミュニティ戦と学割
--Sakamotoさんにはコミュニティ戦などKMCに色々とアイデアをいただきました。そういった発想はどこから思いついたのですか?
Sakamoto:ちょうどそのころプロツアー・チームシリーズが発表されて凄い良いなと思ったのが始まりで、それでKMCでもみんなで競ったら楽しいのじゃないのかなと思って提案した。自分自身もそのときKMCに馴染み始めたときだからもっと友達と仲良くなれたらいいなと考えていたのもあるけれど(笑)しかも、SNSも普及し始めて連絡も取りやすくなっていてタイミングが良かった。当時はそこまで考えていなかったけど(笑)まあ、あとは楽しいからじゃない?全部。
--そうですね。コミュニティ戦は今までにない楽しさがあります。
Sakamoto:KMCの良いところであり、悪いところでもあるけど1度負けたら優勝がほぼなくなるということがある。でも1回負けたからドロップするのは勿体ないやん?本当はそのまま続けて経験を積んだ方が強くなれる。そこでコミュニティのためにポイントを稼げるようにしたら最後まで頑張ってみる人が増えるんじゃないかと思った。
--コミュニティのために頑張っていたら知らず知らずのうちに自分の力になっていたということですね。実際に、2敗してもチームのために頑張ろうと言って続けている方は結構います
Sakamoto:そうそう。だから最近は2敗ラインにも強い人がいっぱいいるもんね(笑)あとは予めコミュニティを組むことによってチームレガシーが組みやすくなるのもある。

--高校生以下半額を提案したのはどういった意図からですか?
Sakamoto:MMMとKOSが開催されるようになって学生の様な若い人が増えた。でもスタンにしてもモダンにしてもMTGは安い趣味じゃない。カードを揃えるにもお金がかかって、参加費にもお金がかかってとなると高校生とかには厳しい。今後高校生以下の層がアリーナとかで増えてくることを考えると、そういったプレイヤーが参入しやすくなる下地になればいいなと思った。浮いた500円で1パック買って新しいカードでデッキを強化できれば凄くいいじゃん?
--確かにそれは理想的ですね。
Sakamoto:若い世代が僕らみたいに大会を経験して今後コミュニティを作っていったら、人をたくさん連れて来てくれてそれがまた大会を支えていくようになる。それがいいんじゃないかなと思って言ってみた。
・帝王Kagotaniを倒せ
--KMCの強豪と言えば?
Sakamoto:まあこれは僕はずっと言ってきているのですがKagotaniくん(*3)です。安定感が半端ない。

(Kagotani Naota)
Sakamoto:まあでもみんな強いから名前を挙げたらいっぱいいる。でも丁度始めた節目に立ちはだかったBanbaやMorishimaは印象に残っている。上も下も強い人はいるけど同い年で仲がいいから目に付きやすい。この3人は試合を後ろからみて「こいつ強えなー」ってなる。でも勝ってる人はみんな強いよ。KMCに優勝するのは運も必要だけど、上位に常に入っている人はもれなく強いと思う。

(*1)Izumi Masaru
ハンドルネームDJ Izumaで活動しているプレイヤー。京都出身のプレイヤーで、京都マジックコミュニティの発展に尽力したプレイヤー。京都の大会、FNL(フライデー・ナイト・レガシー)の創始者。デッキビルダーとして有名で強大化デルバーの他に赤単エルドラージを作った。第12期レガシー神挑戦者決定戦準優勝。
(*2)2018年7月2日に《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》と《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》がレガシーで禁止された。どちらもグリクシスデルバーで使用されていたカードだった。
(*3)Kagotani Naota
KMC最強の一角であり、Omonishi Kojiroの後継者。2019年10月にレガシー関西帝王に2度目の就任を果たした。
スポンサーサイト
コメントの投稿